絶景や美食の感動を
「なぜだろう」と少し掘り下げ
旅の思い出や郷土愛を
深められる場所です
「ジオ」とはギリシャ語で「大地」や「地球」を意味する言葉です。美しい自然景観や学術的価値を持つ地形を見どころとし、その土地や地球の成り立ちを学び、人と大地の関係を楽しみながら学習できる自然の公園のことを言います。 火山と共生したまちづくりを進める「十勝岳ジオパーク」エリア内には、雄大で美しい自然や貴重な地質、さらには周辺の豊かな自然に育まれた多くの見どころがあります。
テーマ
テーマ要約
およそ200万年の間に、現在の十勝岳~大雪連峰付近でおこった大規模火山噴火による火砕流堆積物がつみかさなって丘になりました。また、100 万年前から現在までの火山活動によって、十勝岳連峰がつくられました。
このような大地を農地として開拓し、自然と共存してきたことで、四季折々の美しい景観が生まれました。
ヒストリー
美瑛・上富良野エリアの形成
①2000万年前
北海道が形成される過程で隆起し、エリア西側の山々が誕生した。
②200~100万年前
十勝岳の東側にかつてあった火山の大噴火による火砕流が発生。その浸食により波状丘陵が形成された。
③100万年前
最後に火山噴火が繰り返され、十勝岳連峰が形成された。
ストーリー
北海道の屋根 十勝岳ものがたり
繰り返される噴火と人々の共存
十勝岳は、およそ30 年周期で噴火を繰り返してきたことから、溶岩流・火砕流・泥流など様々な噴火の痕跡を残し、それらをよく観察・実感できる貴重なフィールドを持っています。このような周期で噴火を繰り返してきた火山の営みを学び、噴火に翻弄されながらも共存してきた人々の営みを紹介します。
大地に育まれた火山と共生する 美しい丘のまち
火砕流と農業のコラボレーション
大規模火砕流によって作られた波状丘陵も、原生林や原野であったときにはその地形の全貌を見ることができませんでした。おおよそ130 年ほど前からこの地に入植した開拓民が原生林を切り開き農地にすることによって波状丘陵が認識されたのです。火砕流の大地はその地形と相まって水はけもいい反面、急な傾斜や、石英などを含む土壌などから農機具を痛めるなど様々な苦労も伴いました。波状丘陵の形成と苦労して実りの丘を作った農業の営みを紹介します。
十勝岳泥流のつめ痕に 北の大地を切り拓く
火山災害と復興を伝える
1926 年に発生した十勝岳噴火に伴う融雪型火山泥流は、144 名もの犠牲者を出し、多くの農地を埋め尽くしました。火山災害の悲惨さと復興に苦しんだ当時の開拓民の姿を、三浦綾子の小説「泥流地帯」「続・泥流地帯」のストーリーとともに多くの人に伝えていきます。
基本理念
美瑛町・上富良野町は、十勝岳付近でおきた火山活動によって生まれた大地に、自然と人の営みによって育まれた、美しい丘陵景観が広がっています。その丘には人々の苦労と希望の結晶として豊かな農作物が実り、十勝岳連峰の火山活動による温泉は癒しを与え、その恵みとして貴重な地域資源が多く存在します。これらの地域資源は、火山との共生と火山災害からの復興の中で、歴史や文化とともに継承されてきました。
私たちは、この地域資源の魅力を守り、学び、広く発信して、火山と共生する質の高い地域づくりに取り組むことで、将来にわたって住民が地域に誇りを持つことができる、持続可能な発展を目指していきます。
基本項目
(1)いつかおきる火山災害に2町で協力して備えたい
(2)火山と自然について地域みんなで学びたい
(3)恵まれた環境とふるさとの文化を将来に残したい
(4)地域を愛してほしい
(5)世界の様々な地域と連携・情報交換したい
ロゴマーク
このロゴマークは、「十勝岳と波状丘陵をモチーフに雄大な自然のパノラマ」をイメージしてデザインされました。
日本ジオパークネットワークとは
日本ジオパークネットワークとは、日本国内のジオパークとジオパークを目指す地域が相互で協力し、よりよい地域振興・保全・教育のためにジオパーク活動をする地域の集まりのことです。
日本ジオパークネットワークの正会員として加盟し、正式にジオパークを名乗るためには、日本ジオパーク委員会による審査(書類審査と現地審査)に合格する必要があります。また、認定後も4年に1回の再審査を受けるため、常に発展的な活動が求められます。
ジオパークを推進するメリット
地域の貴重な地質をはじめとした資源を保全するとともに、そのなりたちや歴史を伝えていく教育活動、大地の雄大さや豊かな食などが感じられる観光をはじめとした地域振興など、ジオパークを活用した様々な活動をしていくことで、住民主体で育む豊かなまちづくりを推進することができます。
日本ジオパーク認定審査について
十勝岳ジオパーク推進協議会は、2021年度日本ジオパークネットワーク正会員新規加盟認定審査へ申請し、日本ジオパーク委員会による書類審査・プレゼンテーション・現地調査を受けました。 最終結果については、2022年1月28日の日本ジオパーク委員会にて審議され、「日本ジオパーク」に認定されました。